ハチコの逆転子育て術③「子どもを知る!(心と発達)」|「WISC」&「心理検査」(検査を受けるまで)

息子が「うつ病・PTSD」を発症するまでのことはこちら  ↓

「ハチコの逆転子育て術」とは?

毒親であった自分自身の過干渉と教育虐待で、息子が重度のストレス障害によるうつ病とPTSDを発症した小学4年生の夏。
登校しぶり・勉強の拒否反応・癇癪やパニック・無気力状態が続き時には暴力をふるうことも。

このままでは不登校で学校へ行けないどころか、一生ひきこもりになる

そんな先の見えない絶望の中でゼロから始めた「育て直し」によって、息子は元気になりました
息子の心と体の健康を取り戻すためにやってきたことの全てを、ありのままに綴ります!

目次

検査には消極的。でも・・・|どこでも「発達の精査」を求められる日々


息子が心身の不調を訴えて、学校への行き渋りが始まった頃から、医療機関をはじめ、さまざまなところで相談をしてきたハチコ。

そこで、必ずといっていいほど求められたのが「発達の精査」です。


・極端な勉強の拒否反応(あくび・眠気・吐き気・癇癪)がある

・寝起きやお風呂に入る時におぶって移動させるなどの依存症状がある

・突然大暴れ(家庭内暴力)して、感情のコントロールがきかなくなる


といった息子の状況を説明すると、どこへいっても「発達検査をしたことがありますか?」と尋ねられたり、「発達を調べてみないと何とも言えない」といったニュアンスのことを言われました。


一方で、ハチコ自身は、仕事で「子どもの発達」についての取材や記事の執筆も多く経験していて、客観的にみても、息子に「発達」の問題があると疑ったことはなかったです。

そのため、息子が心身の不調を訴えたり、勉強の拒否反応が出ていることに、「発達」が関わっているとはあまり考えていませんでした。

また、ご多分に漏れず、ハチコが住んでいる地域でも「発達検査をするためには相当な時間がかかる」という前知識もあったので、今すぐ役に立つわけではないという気持ちもあり、検査対して、とても消極的でした。

そんなハチコが息子に検査を受けさせることを決めたのは、急性期に入って3カ月も経過してからです。

検査を受けるまでのこと|「医師が少ない」「予約がとりにくい」「遠い」の三重苦

息子の様子があきらかにおかしいと気づき、学校の行き渋りが始まった7月中旬に、息子を連れて心療内科を受診しました。

初回と2回目はオットとハチコと息子の3人で受診しましたが、3回目からは、ハチコだけが受診をして先生に相談をするというかたちをとっていました。

ハチコだけの受診になったのは、外へ出かけるエネルギーがない息子を連れて病院に行くのは大変だったこと、受診した心療内科では息子への特別なカウンセリングや心理検査をしてくれるわけではなかったこと、などが理由です。

毎回、医師に息子の状況を報告したり、今後の対応について相談したりということを繰り返していました。

しかし、3カ月ほど経過した10月に、以下の理由で、医師から児童精神科の専門医がいる大きな病院への受診をすすめられます

先生

イライラや思考力低下をはじめ、初診以来、息子さんが苦しんでいる状態に改善が見られません

息子さんとお母さんの特異な関係性について問題を感じています

発達障害の精査を踏まえて、今後の対応を考える時期にきているのではないでしょうか

「やっぱり発達か、、」という思いと同時に、「もう、この先生はサジを投げたのかな」という気がして、ハチコと息子が見放されたような、悲しい気持ちになったのを覚えています。

そして、さらにハチコの気持ちを重くさせたのは、紹介できる病院が非常に少ないと告げられたこと。

最初に医師が紹介状を用意すると言ってくれた病院は、都内にある大きな総合病院でしたが、待合室に出てからすぐにネットで調べてみると、もともと児童精神科の専門医を受診できる日は週に1回と非常に少ない上に、お知らせ欄に「児童精神科の新規の患者受け入れを休止している」と書いてありました。

「先生、いい加減だな…」とますます気が重くなりながら、診察室にもどって医師にそのことを告げると、「すみません」と言って、すぐに県内にある子どもの専門医療を提供する病院への紹介状へと変更になりました。

小児専門医療を提供する県立病院なので、ハチコももちろん知っている病院でしたが、「完全紹介予約制だし受診できるとしても相当先だな…」というのと、「息子を連れていくには遠すぎるな…」というのとで、まったく気乗りしません。

ただ、発達の精査をしないと、他の病院に行っても同じ経過をたどるのだろうなということがなんとなくわかったのと、ハチコも他の病院に行くパワーも残っておらず、あきらめて発達検査を受けることを決めたのです。

その後、もう少し早く受診できる病院がないかどうか自力でも探したり、問いあわせたりはしましたが、どこも予約はとりずらく、すぐに検査ができる病院はみつかりませんでした。

(今は、検査に対応しているメンタルクリニックや、民間で検査してくれる機関も増えているので、もう少し状況がよくなっているかもしれません

2014年の10月11日に紹介状を受け取り、すぐに紹介先の病院へと受診の手続きをすすめていきましたが、実際に息子が受診ができたのは翌年の3月26日です。

これについては、発達検査を避けるようなことをせずに、様子がおかしいと思ったすぐのタイミングで、小児科や心療内科から紹介状を書いてもらって動けばよかったかなと少し後悔しています。

息子が受けた検査について|目的と内容

紹介状を受け取ってから、約半年後の2015年3月26日に息子とともに受診したのは「児童思春期精神科」です。

予約には時間がかかりますが、初回の診察は担当の精神科医の先生が長時間(ホームページでは1時間と紹介)にわたって子どもと保護者の話を聞いてくれます。

その上で、必要な検査について決められ、検査は意外とすぐに手配してもらうことができ、4月の6日と7日の2日間にわたって実施されました。

息子が発達の精査をするために受けた検査は、ごく標準的なものですが、以下のとおりです。

WISCWISC-IV知能検査)

10種類の基本検査と5種類の補助検査の結果から、全検査IQ(FSIQ)・言語理解指標(VCI)・知覚推理指標(PRI)・ワーキングメモリー指標(WMI)・処理速度指標(PSI)を測定することができます。
言語的なIQや動作的なIQの得点差などから、発達障害の特性の可否や可能性を判断していきます。

描画テスト(HTPP)

「家」「樹木」「人」を描かせることで、パーソナリティを査定する描画法です。
「家」は家庭状況や感情、「木」は無意識の自己像、「人」は理想の自己像や現実の自己像が投影されやすいと言われ、ほかにも描かれる順番や描くためにかかる時間なども加味して分析をします。

P-Fスタディ

欲求不満を引き起こしやすい場面が描かれたイラストを見せながら、反応を分析することによって人格を把握するための検査です。
トラブルの原因が他の人にある場面や、トラブルの原因が自分にある場面を見せながら、自由な反応を採点していき、集団適応能力などのパーソナリティを探ります。

文章完成法テスト(SCT)

未完成の文章を提示して、思いつくことを感じたままに自由に記述をする検査を行うことで、家庭環境、社会的環境を要因とする自己意識を投影させる検査です。
筆跡、字の書き方、行間なども含めて、パーソナリティーの全体像を把握することができます。

息子は10歳でしたので、すべての検査は臨床心理士の方と息子の1対1で行われました。

誤解をしてはいけないのが、WISCと心理テストの結果だけで、発達障害か否かが決まるのわけではありません。
検査結果を踏まえて、それ以外の問診や診療内容を考慮しながら、医師が総合的に判断して発達障害の可能性を見極めます

検査には2日間にわたり、前後の待ち時間も含めて2時間から3時間程度とかなりボリュームのあるものだったと記憶しています。

今から考えると、正直、検査の予約がすぐにとれたとしても、急性期の息子にはまともに検査を受けるのは無理だったのではないかな?とも思うこともあります。

ともかく無事に検査は終わり、約3週間後に結果を聞きにくることになりました。

検査結果でわかったことは、今後のハチコの育て直しにも大きく影響していくことになります。

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