「スクールカウンセラー」を選ばなかったハチコは、自分で調べてもわからないことを教えてもらったり、自分で思い込んでいることを間違っていると指摘してもらうために、医療機関の受診を考えます。
子どもの心の不調を診る医療機関の種類について
厚生労働省のホームページでは、こころの病気になった時の医療機関として、以下のように紹介されています。
精神科・精神神経科
「精神科」、「精神神経科」と名前は違いますが、実質的にやっていることは同じです。どれかが書いてある場合や、併記してある場合は、こころの病気を専門に診る医療機関です。
心療内科
「心療内科」は、ストレスなど心理的な要因で体に症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる「心身症」をおもな対象としています。しかし、「心療内科」とあっても、実際にはこころの病気を診ている医療機関もあります。ただし、軽いうつ病や神経症など一部のこころの病気しか診ないところもあります。
小児科
「小児科」では子どもの病気全般を診ており、一部の小児科では発達障害や子どもの心身症を専門としているところもあります。中学生以下で、不登校やストレスによる体の不調などで困っているときにはまず相談してみてもよいかもしれません。
神経内科
「神経内科」は、パーキンソン病や脳梗塞、手足のまひや震えなど、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。てんかんや認知症など一部は精神科と重なる病気についても診ていますが、こころの病気をおもに診ているわけではありません。
出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/hospital/hospital_01.html
ハチコの場合は、「神経内科」という選択肢はありませんでした。
行き渋りや不登校などの時に相談をするための医療機関としては、診療内容が異なるのかなと感じます。
ほかの医療機関については全て受診しましたので、感想を含めてご紹介していきますね。
1番身近で早く診てもらえるのは「小児科」。でも・・・
私が医療機関への受診を決めたのは、息子の行き渋り・登校渋りがはじまった時です。
「このままでは息子が不登校になってしまうかもしれない」という恐怖感から、とにかくいてもたってもいられず「何かをしなくちゃ」「誰かに助けてほしい」といった気持ちだったと思います。
なので、この時点では「1日も早く診てもらうことができる」ということが選定のポイントにありました。
これは、きっとどの親御さんも同じではないでしょうか。
「早く診てもらえる」「安心して受診できる」という点では、小児科が1番です。
かかりつけの小児科であれば、当日でも診てもらうことができますし、子ども自身も抵抗なく受診できます。
ただし、ほとんどの小児科の先生はメンタルヘルスの専門家ではないので、受診をしても一般論だけの相談になってしまいがちです。
しかも、小児科は風邪などの患者さんも多く、先生とゆっくり話をすることができないのが難点と言えます。
実際に、私自身も、小児科で息子のこれまでの経緯を説明をしたり、複雑な症状についての理解を求めるのはむずかしいと判断して、最初に行く医療機関としての選択肢から小児科ははずしました。
ただ、少し時間が経ってから、たまたま息子が熱を出してかかりつけの小児科に受診した際に、先生に状況を少し話す機会はありましたが、先生はすぐに児童精神科のある県内の病院の名前を挙げて、連れていくように私に言い、紹介状を書くとおっしゃってくれました。
(その時はすでに別の医療機関から紹介状を受け取っていたので、お断りしましたが)
このあと書きますが、紹介制をとっている大きな病院の予約は非常にとりずらく、長ければ1年ほど待つこともあります。
あとから考えてみると、すぐに小児科に行って、先生に助けを求めた上で、紹介状だけでも書いてもらっておけば、もう少し早く専門性の高い病院での受診ができたのかもしれないとは思っています。
児童精神科は、受診までに非常に長い時間がかかる
子どもの精神的な悩み全般を最も専門的に診てくれるのは、児童精神科です。
医療機関によって、「思春期外来」「こころの外来」など、名称が異なることがありますが、日本小児精神神経学会認定医や精神保健指定医の資格を持つ医師に診てもらうことができます。
私自身も、何も制約がないのであれば、1番診てもらいたかったのは児童精神科でした。
けれども、すぐに診てもらいたい!という状況の中で、受診できる児童精神科は全く見つかりませんでした。
医療機関によって状況は異なりますが、専門性が高ければ高いほど受診者の数も多く、予約がとれるまでにはかなりの時間を要します。
私の地域では、受診できるまでに数ヶ月から半年、長ければ1年待つとも言われています。
(息子は2014年10月11日に紹介状を受け取って、すぐに動きましたが、最初の受診ができたのは翌年の3月26日でした。)
さらに、受診までの予約などの作業は煩雑で手間がかかるだけではなく、急なキャンセルや日程変更なども容易にはできないシステムをとっています。
連れて行くのは、心の病を抱えている不安定な状態の子どもです。
受診当日に急に連れていけない状況になることも十分に考えられるため、すぐにかかる医療機関としては現実的ではないと思います。
けれども、これはあくまでも「すぐに受診する医療機関」として不向きであるという意味です。
どれだけ時間がかかっても、今でも「行ってよかった」と一番強く思っているのは、子どもの心を専門に診ることができる「児童精神科」でした。
息子を診てくださったのは、正式には「児童思春期精神科」の先生です。
通常の受診のほかに、心理検査や発達の精査もしてもらいましたが、詳しい検査をしたあとに、専門性の高いアドバイスを受けることができました。
また、先生やカウンセラーの方の説明にも説得力があり、押しつけがましさもなく、その後の息子との関係性を築いていくのに大きく役立ったのは間違いありません。
ちなみに息子が「児童思春期精神科」で受けた検査は、以下のものです。
- WISC-IV知能検査
- 描画テスト(HTPP)
- P-Fスタディ
- 文章完成法テスト(SCT)
検査結果については、また別の記事で詳しく書いていきます。
オススメは「心療内科(精神科)」の受診(注:当たりはずれあり)
結論として、ハチコが一番最初に息子を連れていったのは「心療内科」で、オススメも「心療内科」です。
「精神科」や「心療内科」を標榜している病院や診療所は、比較的たくさんありますよね。
ハチコが住んでいる地域にも、徒歩や自転車圏内だけで3〜4つほどの心療内科がありました。
ただ、息子を連れていくにあたって、万が一、通院するところをお友達に見られてしまったり、知っている方と遭遇するのは避けたいなという思いもあり、最終的には4〜5駅ほど離れたところにあるクリニックを選びました。
オススメの理由としては
1)選択肢がたくさんある
2)初診でも、すぐに診てくれるクリニックが多い
3)話を聞いてもらう中で、パニックになっている自分の状況や気持ちを整理できる
4)合わなければ、すぐに病院を変えられる
5)普通のお医者さんと変わりない造りなので、子どもにも「困っていることが相談できる普通お医者さんだよ」と説明しやすい
6)病院によっては、カウンセリングや検査を行ってもらうこともできる
いろいろ書きましたが、「とりあえずすぐに連れて行ける!」というのが、ハチコにとっての心療内科の魅力です。
一番大変な時って、親も子どももヘロヘロです。
病院を探したり、長い間予約できる日を待ったり、手続きをしたりなんて余裕はありません。
とにかく誰かにすがって、話を聞いてもらう。
合うか合わないかはわからないけど、アドバイスをもらって考える。
その上で、子どもの反応を確かめたり、子どもと話をするきっかけにつながることもある。
最初は「いい病院に連れていこう!」と欲を出さすに、「心療内科」を利用してみる、という程度のスタンスでいいかと思います。
また、別の機会に詳しく書きますが、私が受診した心療内科は、そうした当初の目的は果たせる良心的なクリニックで、十分に時間をとって、話も聞いてくれましたし、薬を強要することもありませんでした。
ただし、不登校などで心療内科を受診した知人たちの話を聞くと、すぐに薬を処方されたり、あまり長く話を聞いてくれなかったりと、十分に対応してもらえないケースも多いようです。
どの診療科も同じことですが、合う合わない、当たり外れなどは、ありますよね。
ちなみに、ハチコと息子を診てくださった心療内科の先生は、子育て経験のない若い女性の先生。
スキル的には問題はなかったと思うのですが、私たち親子の気持ちに寄り添うというような優しさを感じることができなかったので、冷たい印象を受けてしまうことも多かったです。
それでも、自分たちの状態を客観視してもらい、毒親である自分自身が原因で息子が心身を壊してしまったこともわかり、育て直しのスタートを決心することにもつながりました。
なので、心療内科にすぐに受診したことは結果的によかったと感じています。
直接子どもを救ってくれるという結果にはつながりにくいかもしれませんが、一番最初に助けてもらいやすいのは、
「すぐに!誠実に!時間をかけて話を聞いてくれる心療内科」
ではないかな、というのがハチコの結論です。
自分で決められない時には、地域の保健センター・支援センターに相談
今はインターネットで調べると、当時よりかなり多くの医療機関が検索結果にあがってきます。
私が住んでいるエリアでも、今は発達専門のクリニックや相談室などができていますが、保険診療を行う医療機関はやはり1年待ちも当たり前。民間でやっている所は、料金が高すぎる(発達の精査だけでも10万〜20万など)、本当に帯に短したすきに長しです。
私は人に頼るのが苦手で、できれば自分で決めていきたいというタイプですが、中には、どうしたらいいのか本当にわからない、決められないという方もいらっしゃるかもしれません。
いきなり病院に連れて行く勇気がない、子どもを病院に連れて行くのに抵抗があるという方は、市町村にある相談窓口を利用するのが、一般的な方法かと思います。
私が住んでいる地域でも、区役所などに市町村の保険福祉センターや障害支援窓口などがあり、子どものことで心配なことがあった時に応じてもらえるようにはなっています。
ただ、ハチコ的には、公的な窓口も、やたらと待ち時間が多かったり、当たり障りのない情報提供しかしてもらえなかったり、ということが多いかな、、、という印象が強く、あまり使わなかったです。
とにかく、とにかく、当事者は、一刻も早くなんとかしたいので、時間も余裕もないですよね。
自力で収集できる情報はネットなどで調べてしまった上で、それでも補えない専門的な部分について、医療機関や個人のカウンセラーなどを上手に活用するのが、一番効率的ではないかと考えています。
そして、シツコイですが、
最終的に子どもを救うことができるのは、親である自分自身です!
ハチコのような「毒親」であっても、きちんと自分自身の過ちを認識して、変わることさえできれば、子どもを助けることができますよ!