息子が「うつ病・PTSD」を発症するまでのことはこちら ↓
「ハチコの逆転子育て術」とは?
毒親であった自分自身の過干渉と教育虐待で、息子が重度のストレス障害によるうつ病とPTSDを発症した小学4年生の夏。
登校しぶり・勉強の拒否反応・癇癪やパニック・無気力状態が続き、時には暴力をふるうことも。
このままでは不登校で学校へ行けないどころか、一生ひきこもりになる。
そんな先の見えない絶望の中でゼロから始めた「育て直し」によって、息子は元気になりました!
息子の心と体の健康を取り戻すためにやってきたことの全てを、ありのままに綴ります!
息子の学校の行き渋りや不登校傾向についての対応は、
「学校内に直接の原因がない」
「主な要因は親と家庭環境にある」
を前提として、医師や専門家からの「登校を続けるサポートをしてもよい」というアドバイスをもとに動いていました。
「学校(先生・友人関係・勉強など)が原因の行き渋りや不登校傾向」である場合には、対応が異なる場合も多いかと思いますので、ご承知おきの上、お読みください。
修羅場の中ではじまったマッサージ|最初は奴隷のような地獄絵図!?
最初に息子に対してマッサージをしたのは、いつだったのか?
息子が登校への拒否反応を示してぐったりとしていた朝だったか。
勉強への拒否反応で大声で泣くじゃくっている癇癪の最中だったか。
とにもかくにも、普通に話しかけてもまったく手に負えない状況の急性期の最中に、いつのまにかマッサージの習慣が始まっていました。
急性期の息子が大暴れをしたり、ぐったりして動けない時、こちらも泣きたいような気分でしたが、なだめようとして息子に近づいていくと、蹴られたり、叩かれたり。
ならばと、そっとその場を離れようとすると「ねぇーーーーーー!」「ねぇーーーーー!」っと大きな声で呼び止められて、「なに?」と聞くとまた言葉にならない怒号や泣き叫びが延々と続く。
「どうしたらいいのぉ〜〜」
「いいかげんにして〜〜〜」
「ねぇ〜〜〜!」
ひたすら叫ぶ息子を、むりに抱きしめようとしてみたり、頭をなでようとしてみたり、気をそらせるようなものを持ってきてみたりしても、全く効果がなく、何をしても手がつけられない状態。
毎日、かなりの頻度でそうした修羅場が繰り返される中で、どうにかして苦しむ息子を落ち着かせたいという思いで、気が付いたらマッサージをするようになっていました。
でも、最初は「親子マッサージ
さしずめ、息子に奴隷のように仕える母親??といったところでしょうか。
まだ息子が産まれてすぐの頃に「ベビーマッサージ」をしてあげていたことはありますが、あんな微笑ましい光景とは真逆の状態。
もちろん、マッサージをしながらも、これが正解だとはまったく思っていませんでしたが、それでもマッサージをすると、不思議と息子は落ち着きを取り戻したり、普通の状態ではできなくなっていることをなんとか成し遂げることができたりしました。
イライラして暴力を振るうような興奮状態の時も、「マッサージしようか」という言葉には比較的素直に応じてくれたこともあり、頻度もすごく多く、時間も長かったです。
激しい勉強への拒否反応で家で文字を書くことできない時にも、宿題を広げただけで生あくびが止まらなくなってしまった時にも、酷い時には吐き気や頭痛を伴うような勉強の拒絶反応が出ている時でも、手や足、肩や背中を自己流で揉んであげるだけで、少しずつ、前に進めていくことができました。
でも、息子がラクになるようにやってあげているという優しい気持ちよりも、1日1日をなんとかやり過ごしていくためにしかたなく揉んであげていた日々。
当然、私自身も「マッサージ」という行為を肯定的に捉えることはできず、後ろめたいような罪悪感で満ちた気持ちや、悲しい気持ちがとても強かったです。
それでも、息子が少しでも普通に物事ができるのなら、気持ちが落ち着くのならと、マッサージ以外の手段が選べなかった…そんなスタートでした。
行き渋りの朝にもマッサージ|「休んでもいいよ」の声掛けと共に
息子へのマッサージは、酷い行き渋りの症状が出る登校前の朝にも行われていました。
着替えができない、食事ができない、動けないという状態の息子に、「学校に行きなさい」とは言えない。
そして、教科書どおりの「休んでもいいよ」という声掛けをしながらも、心の中では「なんとか登校してほしい」と願いながらマッサージをして、声には出さずに登校を促してしまい、、。
「本当に腹痛や頭痛が出た時は休ませよう」
「本人が休みたいとはっきり言葉にしたら休ませよう」
といろいろな言い訳を探しながら、やはり奴隷のようにしか見えないシチュエーションでマッサージを続けて、登校をサポートしてしまっていたのです。
時には、息子からマッサージをせがまれることもありました。
言葉には出しませんが、まるで「マッサージしないなら学校行かないよ!」「マッサージしないなら何もしないよ!」と脅かされているような口調で「揉んで!」と要求され。
涙が出そうになるのをなんとかこらえながら、毎朝マッサージをしていたのを思い出します。
もちろん、学校を休ませること、そして不登校になることが悪いことであるという概念は、当時も今もまったくありません。
ただ、息子は学校原因の「行き渋り」「不登校傾向」ではなかったこともあり、医師からも本人が具合が悪くなったり、休むという意思表示をしないかぎりは登校を促してもよいとアドバイスされていました。
また、親がいないところでは、家の中よりもしっかりと行動ができるため、社会との接点(特に友達とのやりとりや他人を観察することなど)によって改善されていくことも多いため、登校を続けられるのならばサポートしてもよいという指導も受けていました。
ただし、それは半分は言い訳でして。
本当は「休んでもいいよ」ではなく、「休みなさい!」と登校を止めてあげた方がいいのかもしれないと悩むことも多かったです。
あくまでも結果としてですが、
息子はこの先2年ほど行き渋り・不登校の兆候がありましたが、体調を崩して数日学校を休むことはあっても、長期の不登校にはならずに元気になっていきました。
もちろん、いろいろな要素が重なって長期の不登校を回避することができたのですが、その一つの要因に、「親子マッサージ」で登校前の息子の気持ちを落ち着かせることができたということもあると考えています。
睡眠導入にも効果的|協力者がいれば分担して
時間を決めていない、息子が納得するまで終わらないマッサージは、揉んでいる手が痛くなってしまったり、疲れて揉めなくなってしまうこともありました。
そのため、朝のマッサージは、しだいに出勤前のオットに手伝ってもらうようになっていきます。
母親と父親が交代でマッサージをする。
これってやっぱりおかしいよね?と思いながらも、オットも文句を言わずに息子を揉み続けていました。
そして、マッサージは、朝や昼だけではなく、息子が夜眠るときにも行われるようになります。
1日息子の相手で疲れ果てた私には本当に辛い作業だったので、オットに息子が眠る前に間に合うように早く帰ってきてもらい、スーツ姿のオットがそのまま息子の眠るベッドに行って、揉んであげるのが日常となっていました。
特に息子が不安定で眠れないような時にはマッサージ時間も長くなってしまいましたが、最終的にはマッサージのおかげで、安心したような表情で眠りにつくことができていたと思います。
私もオットも、子どもにマッサージをしてあげていることへの罪悪感のようなものが消えることはありませんでしたが、さまざまな場面において、親子マッサージが「息子のうつ病とPTSDの急性期」と「どん底にいた親子の生活」を救っていたことだけは紛れもない事実です。
親のメンタル問題も解消!?|やりきれない気持ちをマッサージに込めて
親子マッサージをすることは、息子自身の心身を落ち着かせるだけではなく、母親であるハチコ自身のメンタルにもいい影響がありました。
当時、息子がうつ病とPTSDの急性期に入ってからの生活は、母親である私にとっては地獄のように苦しい日々でした。
原因が母親である自分自身にあることを知り、必死に自分を変えようと努力してはいたものの…
息子がだらだらと何もせずにゲームに没頭したり、勉強の拒否反応で宿題を見るだけで生あくびが出てしまい、ゴロゴロとしているだけの状況を、見守らなくてはいけないと頭ではわかっているけど、気持ちがダメで…。
今はとにかく休ませるって決めているのに、イライラしたり、絶望したり、泣きそうになったり。
油断して何かをしゃべると息子に対して悪影響な言葉が出てきてしまいそう、、って場面がしょっちゅうありました。
そんな時に、息子に何かを語りかけるかわりに、「マッサージしてあげよっか?」って声をかけて、肩や背中を揉んであげるようなシチュエーションも多かったです。
言葉にはしないけど、
「がんばれ!」
「ママは応援してるよ!」
「今は疲れているからゆっくり休もうね!」
「○○が元気になるためだったら何でもやるよ!」
「いつもママはそばにいるよ!」
という気持ちを込めて、マッサージをひたすら続けていました。
でも、疲れ切った自分の本音を発散させるような気持ちでマッサージをすることもあり、
「どうして動けないの!」
「ママだって大変なんだからね!」
「なんで普通の生活を送れないの!」
「こんなに休んでいるんだから、もう何かできるでしょ!」
と心の中で、絶対に言ってはいけないことを連呼していたこともたくさんあります。
こんな時のマッサージでは、涙がぽろぽろとこぼれてしまうこともありました。
そして、背中とか腰とか足とか、息子がうつ伏せの状態でできるマッサージに切り替えて、見えない角度で声を出さずに泣いて、おさまったら「はい!おわり!」となんとか笑顔をつくるようにして。
今はまだ言葉にしちゃいけないと思うメッセージや、自分の本音を吐き出すかわりにマッサージをすることで、ハチコのやりきれない気持ちや絶望の心も少しは救われていたかもしれません。
円滑なコミュニケーションにもつながる|話を最後まで聞く裏技?
急性期の息子は、予定の話や、なにか少し大切な話をしようとすると、瞬時に機嫌が悪くなったり、泣き叫んだり、大きな癇癪につながってしまうことが頻繁にありました。
これから大切な話をするよ!と言っているわけではないのに、子どもって敏感ですよね。
また、先々の予定を言われるのも、その頃の息子がものすごく拒絶反応をおこすことの一つでした。
会話の最中に、いつ、どんなタイミングで癇癪が起こるのか、どんなワードがスイッチを入れてしまうのかが把握しきれない部分もあり、普通に生活をしていこうとする上では、コミュニケーションをとりづらいというのが大きな障害でもありました。
ただ、マッサージをしている間は、息子は比較的気持ちが落ち着いていたのと、状況的にそのままもっと続けてほしいからなのか、最後までなんとか話を聞いてくれることが多かったです。
その頃は無我夢中で、意図的に「マッサージの時に話そう」などと考えていたわけではありませんが、今思うと急性期を乗り越えていくために、マッサージタイムがすごく役に立っていたな〜と。
あと、マッサージをしている時は、本当に近くで息子の様子を見ながら話せるので、ちょっとした表情の変化や反応にも気づきやすかったかなと思います。
小学生とはいえ、高学年にさしかかっていた息子と自然に近い距離感でいられたことで、マッサージ中のコミュニケーションがうまくいきやすかったのかもしれません。
賛否両論だった「親子マッサージ」に対する評価|でも今は!?
後ろめたさや罪悪感を感じながら始めた「親子マッサージ」について、専門家の方たちの反応はさまざまでした。
特に、急性期のはじめに通っていた心療内科の先生は、私がマッサージをしている時の様子などを詳しく話した時に、「そうなんですね」と聞くだけで否定的な意見こそ言いませんでしたが、電子カルテに
「通学が続いているものの、朝の準備中に手足をマッサージしている」
「両親に交代でマッサージをさせるなど、過剰な要求がエスカレートしている」
といった内容を書き込んでいるのを見た時に
やっぱり子どもに親が一生懸命マッサージをしていることって、異常なことなのかな…
と、ひどく落ちこんでしまいました。
一方で、不登校支援学級の先生をしていた友人に尋ねた時には、
「まぁ、べつに親が子どものマッサージをしてあげることって、そんな悪いことだとは思わないけど。それで○○くん(息子)の気持ちが落ち着くなら、別に続けてもいいんじゃない?」
と言ってくたので、少し安心したのを覚えています。
同じように、少し落ち着いた時期に受診した「児童思春期精神科」の先生は、ベテランの男性の先生でしたが、マッサージのことを話しても「特に問題ではない」といったような表情で、
「べつに本人が嫌がってないならいいと思いますよ」
とおっしゃていました。
当時、ネットで調べても「ベビーマッサージ」のことにはたどりついても、ある程度大きく成長した子どもに対するマッサージについて書かれているものはあまり見つからず、答えはわからずにいました。
ところが…
今、ネット上で検索してみると、「親子マッサージ」に関する肯定的なコラムや記事がたくさん出てきます!
中には、「親子マッサージ」の講座や教室も多くあり、子どもに対する非言語コミュニケーションとしてすっかり定着しているようです。
私が迷いながらしてきた「親子マッサージ」はやっぱり悪いことではなかった!!
息子が心身の健康を取り戻すのに役に立ったんだ!!
10年ぶりに、やっとそう確信することができました。
急性期以降にも続けていた「親子マッサージ」。
後編では具体的な方法、その効果についても、ご紹介していきます!