もしも子どもの心に異変を感じた時、「専門家に相談したい」と思ったら、みなさんは誰を頼りますか?
「頭が痛い」「お腹が痛い」などの症状の相談だけならお医者さまにも説明しやすいですが、「不登校になりそうだからなんとかしたい」「突然暴れ出したり、発狂したりする」「生あくびなどの拒絶反応が起こって勉強ができない」といった状態を短い時間で説明するのは現実的に難しく、気軽に医療機関を受診することもためらわれてしまいます。
一方で、「スクールカウンセラーに相談したらいいのでは?」と思われる方も多いかと思いますが、ハチコの場合には、すぐに「スクールカウンセラー」が頭に浮かんだものの、実際には息子のことで「スクールカウンセラー」にお世話になることは一度もありませんでした。
ハチコは「スクールカウンセラー」を選ばなかった理由、そして、実際に息子のことを相談した場所について、当事者としての率直な感想や成果などをご紹介します。
「スクールカウンセラー」を選ばなかった理由①|予約がとれない
ハチコは息子の様子がおかしいと感じた時に、担任の先生に連絡をして学校での息子の様子を聞いたり、家での息子の状態についての報告などをしました。
その時に、スクールカウンセラーへの相談についても先生に聞きましたが、返ってきた答えは「現在相談件数が多くなっていて、スクールカウンセラーの予約がとれるのは4カ月後になります」というなんともザンネンな感じの公務員対応・・・。
スクールカウンセラーは、多くても「週に1回」か「2週間に1回」の来校で、1日の予約件数も非常に少ないので仕方がないですが、「とにかく今困っている」というハチコにとっては4カ月先の予約では意味がないとガッカリしました。
スクールカウンセラーが常駐している私立の学校などであれば、もう少し予約が取りやすいのかもしれませんが、公立の小中学校では同じように予約がとりずらいという状況をよく耳にします。
「今すぐ助けてほしい」「少しでも早く相談に乗ってほしい」と考えている状況下では、スクールカウンセラーの制度はうまく機能しないことも多いのかもしれません。
「スクールカウンセラー」を選ばなかった理由②|スキルの差が大きい
もう一つ、ハチコには息子の小学校に来てくださっていたスクールカウンセラーに対する懐疑心もありました。
ハチコが心配していたのは、(これはもう運に左右されることであってどうにもならないのですが)スクールカウンセラー1人1人のスキルの差が大きいということ、つまり当たりハズレがあるということです。
少なくとも、息子が通っている小学校のスクールカウンセラーに会ったママ友からは、やっと順番が回ってきたスクールカウンセラーとの面談が「全く意味のないムダな時間」であったという報告を受けていました。
ママ友の場合は、2人の息子さんがそれぞれに不登校の状態にありましたが、「2人の息子さんを守る」ために奔走している中でも、たのもしいぐらいに堂々としていて、しっかりとしたご自分の考えを持っていらっしゃる方でした。
「不登校」である状況にも焦ることなく、お子さんの気持ちや体の状態を一番に考えて、さまざまな情報収集や勉強もされていたのです。(しかるべき医療機関も受診されていました)
そんな彼女にとって、ハズレの部類であったスクールカウンセラーとの時間は、ムダでしかなかったというのも致し方ない感想なのかなと思います。
もちろん、誤解のないように書いておきますが、スクールカウンセラーの中には大当たり!の素晴らしい経歴やスキルを持っている方も大勢いらっしゃいます。
ただ、ママ友から事前情報を聞いていたハチコは、スクールカウンセラーに対して全く期待を抱くことができず、ましてや4カ月も先に会っても意味がないと考えたのです。
「スクールカウンセラー」を選ばなかった理由③|学校要因ではない(かつ、担任が頼りない)
スクールカウンセラーの大切な役割の一つに、相談者の話を聞いたり、問題を解決するための相談に乗るだけではなく、面談で得た情報を担任や養護教諭などにフィードバックして、相談者と学校側の橋渡しをするということがあります。
ですので、子どもの心の不調の原因があきらかに「学校」にある場合には、時間がかかってもスクールカウンセラーとの面談は必要になるかもしれません。
しかし、息子の場合には、直接的には学校に原因があるとは考えていなかったこと、そして、おそらく橋渡しの相手になるであろう息子の「担任の先生」が非常に頼りなかったことも、「スクールカウンセラー」を選ばなかった理由の一つです。
担任の先生については、小学校とのやりとりやハチコが行ったことについてまた別の記事で取り上げますが、申し訳ないのですが、ひいき目にみても「いい先生」ではありませんでした。
「生徒1人1人をきちんと見ることができない」「生徒の前でもすぐに大人げない感情的な態度をとる」「親からの質問に対して当たり障りのない回答しかできない」といったタイプの先生で、ハチコも何度かやりとりをしているうちに、「この先生には相談することはできないな…」とあきらめました。
もしも「担任の先生」が生徒1人1人の気持ちに寄り添うことができる素晴らしい先生だったら(息子が小学校6年生の時の担任の先生がそうでした!)、スクールカウンセラーではなく「担任の先生」に相談することもできたかもしれないなと思います。
でも、このような状況であったため、当時のハチコは相談する場所や相手として、「学校関係者」を完全に消し去りました。
スクールカウンセラーを選ばなかった理由④|自分で調べたら・・・
実は、スクールカウンセラーに相談しようかどうか迷っていた頃、ハチコは図書館で「スクールカウンセラーになりたい人が読む入門書」や「スクールカウンセラーになった人の手引き」をはじめ、「カウンセリングの基本」や「臨床心理士の方の専門書」などを、読みあさりました。
そうしたら、素人のハチコにも、もしも面談をしたら、スクールカウンセラーの人がどんな風に接してくるのか、どんな質問をされるのか、どんなアドバイスをしてくるのかということの基本のラインが、ある程度見えてきました。
・まずは、「来談者中心カウンセリング」だから、「受容」「傾聴」「共感」できっとうなずきながらいろいろ話を聞いてくれるのね。
でも、短時間では伝わりにくそう…
・今後、本人の訴えを聞いてもらう「問題解決的カウンセリング」に進んだとしても、もともとコミュニケーションが得意ではない息子がうまく気持ちを伝えることはきっとムリ。
親子ともに疲弊しそう…
・「毒親」だって告白しても、「お子さんのために頑張ってこられたのですね」「ご自分を責めないでください」とか言われるんだろうな。
そういうの、いらない…
・勉強の拒絶反応は家庭内限定で起こっていることだから、「学校へのニーズ」について尋ねられたとしても特にないかな。
しかも、あの担任の先生じゃ何も期待できないし…
・息子のケースでは、「ストレスマネジメント」によるアプローチが適切で、日常生活の中で実践できるセルフケアの方法を伝えられることになる可能性が高い
→つまり、「親の行動支援」や「家庭環境の修正」を指摘されて、新しい行動を提案されたり、うまくいってますねと励まされたりするのかな。
でもそれって、もう自分でわかってるんだけどな…
こんなふうに、スクールカウンセラーの方の技法や問題解決方法の基本などを読んでいくうちに、スクールカウンセラーの面談にあまりメリットを感じなくなってしまったこと、面談をしなくても、すでに自分が息子にやるべきこと、自分が動くべき方向性などがわかってきたことによって、スクールカウンセラーの方に聞きたいことも、教えてほしいことも、ほぼなくなってしまったのです。
もちろん、臨床心理士や公認心理師の方が資格を取るための大変さや、試験の難易度の高さなども、わかっているつもりなので(公認心理師の友人がいます)、間違っても、スクールカウンセラーの方たちをナメているわけではありません。
ただ、想像の中で相談して、想像の中で共感をしてもらって、もしも教科書どおりならこんなことを言ってくれるんだろうな〜と考えていたら、何ヶ月もその機会を待って何もしないわけにはいかない、そして自分が今日からやるべきことは、「親である自分が変わることなんだ」という答えにたどりつきました。
あくまでも息子のケースにおいてはですが、「スクールカウンセラーに会っても意味がないな」と決めたのは、自分でカウンセラーの方のことをいっぱい調べたことが一番の大きな理由だったかもしれません。
そして、疲れ果てている自分や息子のわずかなパワーや時間を使って会いたいのは、スクールカウンセラーではなく、自分の知り得ない専門的な知識で、検査や治療を伴うカウンセリングをしてくれる人=医師(または病院の心理士)であるという結論に達しました。
ハチコと息子が受診した医療機関ごとの詳細については、「子どもの心の不調を救ってくれたのは誰?②|本当に助けてくれた医療機関はどこ?」でご紹介していきます!