息子が「うつ病・PTSD」を発症するまでのことはこちら ↓
「ハチコの逆転子育て術」とは?
毒親であった自分自身の過干渉と教育虐待で、息子が重度のストレス障害によるうつ病とPTSDを発症した小学4年生の夏。
登校しぶり・勉強の拒否反応・癇癪やパニック・無気力状態が続き、時には暴力をふるうことも。
このままでは不登校で学校へ行けないどころか、一生ひきこもりになる。
そんな先の見えない絶望の中でゼロから始めた「育て直し」によって、息子は元気になりました!
息子の心と体の健康を取り戻すためにやってきたことの全てを、ありのままに綴ります!
WISCが教えてくれたこと|「毒親」「教育虐待」だけではなかった?子どもの苦しみを知る
2015年4月6日と7日に検査を受けて、結果説明を受けたのは4月30日です。
3月26日の初診から検査、そして検査結果までは、受診を待たされていた期間から考えると、想定していたよりもスピーディーだったなと感じました。
(そうはいっても、結局、息子の発達の精査ができたのは、息子に明らかな異変があらわれてから1年近くもかかってしまっていることにはなりますね。)
結果説明は、息子を義母に預けて、ハチコとオットの2人で聞きに行きました。
息子のいないところで、しっかりと発達障害の有無などについても聞きたいと思っていたからです。
結果説明はとても丁寧なもので、最初に検査を担当した臨床心理士の方から1時間以上にわたって話があり、その後、担当医師から30分以上かけて話がありました。
お二人とも「ほかに質問はないですか?」と繰り返してくれて、こちらの疑問や不安がなくなるまでしっかりと時間をとってくださった印象です。
結論から言うと、臨床心理士と医師の総合的な判断として、息子には「はっきりとした発達障害の傾向はみられない」という診断となりました。
WISC-Ⅳ検査のおおまかな結果は以下のとおりです ↓
全検査IQ(FSIQ) | 高め |
言語理解(VCI) | 高め |
知覚推理(PRI) | かなり高め |
ワーキングメモリー(WMI) | 高め |
処理速度指標(PSI) | かなり低め |
WISC-Ⅳ検査では、単純に「高いから良い!」「低いから悪い!」という判断をするわけではありません。
もちろん、それぞれの指標が低いことは、その分野が苦手であるということを表し、発達を判断する上での指標にもつながります。
ただ、それ以外に重要なのが、「ディスクレンパシー」と呼ばれる指標ごとの得点差がある場合です。
息子の場合には、処理速度の得点が平均の数値内ではあったものの、少ないところで「30」、大きなところでは「50」も得点差がありました。
処理速度は、簡単に言ってしまえば単純作業を素早く行う能力になります。
他の能力との差があることによって作業効率が非常に悪くなり、「要領が悪い」という傾向が顕著だと言えるのです。
つまり、息子の場合、処理速度とそのほかの能力の差が大きすぎることで、頭で考えていることや、本人がやろうとしていることがうまく成果に結びつかず、「苦しさ」が生まれているという結果が出ました。
「処理速度の低さ」については、親としては想定内でした。
小さい頃から、まわりの子たちと比べても「器用ではない」ことはわかっていましたし、息子が心身の不調を訴える中でも、一番嫌がっているのは、単純作業や反復作業などに見えるからです。
こうして検査を受けることで、今まで息子に対して思っていたことが可視化され、モンモンと考えているよりも気持ちの整理がつきやすく、対処もしやすくなりました。
息子の苦しんでいるポイントがつかめたことで、息子をあらためてしっかりと理解することができるようになったと思います。
そして、心療内科の医師には「母親の対応や親子関係」「教育虐待」が息子の不調の原因になっていると強く言われていましたが、児童思春期精神科の医師は常に「ご自分をそこまで責める必要はありません」という優しいニュアンスで、親子の組み合わせのことや今後の対応について説明してくれました。
もちろん、それは医師の人間性による配慮であって、毒親であるハチコの育て方と教育虐待が、息子を壊したことは間違いがありません。
それでも、ハチコ自身の対応だけではなく、息子自身の生きづらさも要因となっていて、組み合わせが悪かったという説明を受けたことに救われる思いはありました。
心理検査が教えてくれたこと|育て直しの支えとなった言葉
さらに、WISC以外の心理検査からも、さまざまな息子のパーソナリティを知ることになります。
心理検査の結果の概要は以下のとおりです。
・対人場面で適応的に対処できる力はある
・社会的規範に合わせようとする思いが強く、こうあるべきという思いが強すぎる
・さまざまな場面で強迫的な傾向、不安、緊張の高さがある
・自分の気持ちを捉えたり、言葉にして表現をすることが苦手である
息子は「良い子」であろうとする意識が強く、周囲の要求に過剰に応えようとしている傾向があると言われました。
この息子の性格自体は、毒親に育てられたことで生まれたものではないものの、この性格の息子と毒親という組み合わせは最悪であったということになります。
つまり、息子はもともとなるべく決められたことを成し遂げようとする性格だったにもかかわらず、毒親が息子の能力以上に頑張らせようとコントロールし、その要求に応えるためにエネルギーを過剰に使い果たして、心身が崩壊したのです。
一方で、児童思春期精神科の医師は、息子が心身を壊したことは、まさに息子のSOSであり、自身の大変さについて表現しはじめている証拠であるとおっしゃいました。
また、これからの方向性を示すなかで、息子本人が自分自身の弱さやネガティブな思いを表現していくこと、それをまるごとそのまま受け止めてあげることがとても大切であると告げられます。
このときの医師からの言葉は、この先ハチコが育て直しをしていく中で、そして、今でも物ごとをすすめる上での根本となる考えとして、繰り返し思い返しているものです。
息子が具合が悪くなってからすぐにはじめた育て直し。
親が変わることで、とにかく息子を支配せず、息子が歩む道を口を出さずに見守り続ける日々に間違いはない。
このまま、この育て直しを続けていっていいんだ。
WISCと心理検査の結果は、ハチコの心を後押ししてくれたのです。
子どもの心と発達についてはデリケートな問題であると同時に、言語化すると違ってしまうことも多いかと思います。
今回書いた検査結果はザックリとしたもので、結果の受け止め方にはハチコの主観も入っています。
ですが、ハチコがこの結果を踏まえて実際にどんなふうに育て直しをしていったのか、具体的には何をしたのか、ということを今後綴っていく中で重要なポイントとなるので、記事にしてみました。
検査を受けるのか、発達を精査するのかについても、そしてその時期についても、ケースバイケースで正解はないですよね。
ただ、ハチコの場合は、少し遅いタイミングではありましたが、息子に発達の精査と心理検査を受けさせてよかったと思っています。
追記:最初に投稿した「ハチコの逆転子育て術③「子どもを知る!(心と発達)」に反響をいただいたので、検査にいたるまでの記事をリライトし、さらに、「考察編」「実践編」を加筆します。
よろしければお読みください!