息子が「うつ病・PTSD」を発症するまでのことはこちら ↓
「ハチコの逆転子育て術」とは?
毒親であった自分自身の過干渉と教育虐待で、息子が重度のストレス障害によるうつ病とPTSDを発症した小学4年生の夏。
登校しぶり・勉強の拒否反応・癇癪やパニック・無気力状態が続き、時には暴力をふるうことも。
このままでは不登校で学校へ行けないどころか、一生ひきこもりになる。
そんな先の見えない絶望の中でゼロから始めた「育て直し」によって、息子は元気になりました!
息子の心と体の健康を取り戻すためにやってきたことの全てを、ありのままに綴ります!
暴力をふるわなくても「毒親」?」|まずは「毒親」を知る
ハチコは、息子が心身を病んだことによって、初めて自分が「毒親」だと知ることになりました。
「毒親」の概念は、以下の通りです。
毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。
「毒親」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。最終更新 2023年9月12日 (火) 15:36 https://ja.wikipedia.org/wiki/毒親
スーザン・フォワード(Susan Forward)は、1989年に出版した書籍『毒になる親 一生苦しむ子供』で、「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」を指す言葉として用いた。
もちろん自分の「子育て」に自信があったわけではないし、どちらかと言えば悩むことも多く、「育児が下手?」な部類の母親であろうということはわかっていました。
でも、とにかく自分なりに無我夢中で一生懸命頑張っていたつもりだったので、さすがに「毒親」とは無縁だと思い込んでいたのです。
ハチコの中では、「毒親」は、子どもに暴力を振ったりして直接的な虐待をしている親とか、もしくは、子どもに対して病的に依存しているような親とか、そういうイメージで。
見るからに犯罪のような酷いことをしている親をさす言葉だと考えていました。
ハチコはただ一生懸命子育てをがんばってきただけのつもりだったのに・・・
暴力をふるっているわけではない!
毎日食事も作って、家事もしている!
いつも息子のことを考えて、心配している!
幼稚園・小学校の行事も欠かさず参加して、PTAも積極的にやってきた!
息子のために、自分のいろいろなことを犠牲にして頑張っている!
それでも、そんなハチコは、正真正銘の「毒親」だったわけです。
いや、そんなハチコだから「毒親」だったのですね。
ハチコの過干渉は「毒」だった?|真面目な教育ママの末路
ハチコは、息子を連れていった心療内科で、息子がストレス障害に陥った原因は「親の過干渉」と「教育虐待」であるとはっきりと伝えられます。
息子は、親の意向に沿うことで自分が愛されていると感じている。
つまり、自分が勉強している時だけしか親が愛してくれないと考えていると。
そして、親のコントロール下におかれる中で、知らず知らずのうちに「決定権」を奪われ、親の干渉の中でしか自分の「存在価値」を見いだせない状態になっている。
その中で「中学受験」が始まり、通塾やピアノで忙しい生活を送る中、自分の意向ではないことを続けることでストレスが増大して、心身が不調となり「うつ症状」を引き起こした。
さらに、「親から勉強を強要されていた日々」「サボると親から怒られること」など、「教育虐待」による親のコントロールが心の傷となって大きく残り、PTSDを発症。
母親がいる空間の中では、
・勉強をしようとすると生あくびが出て止まらない。
・鉛筆を握って字を書くこともできない
・本を読むこともできない
という体にしてしまったのです。
つまり、ハチコは、息子に悪影響を与え続ける典型的な「過干渉型の毒親」だという診断でした。
そもそも「毒親」には、以下のタイプがあると言われています。
斎藤学は、毒親として訴えのあるタイプとして、
「毒親」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。最終更新 2023年9月12日 (火) 15:36 https://ja.wikipedia.org/wiki/毒親
(1) 過干渉、統制型の親(最も訴えが多い)
(2) 無視親(ネグレクト)
(3) ケダモノのような親(激しい暴力や暴言・性的虐待など、心身の健康・生命にも関わるもの)
(4) 病気の親(周囲の適切な支援と保護が必要な社会的不適合並びに精神障害の親)
の4タイプを挙げている。
上記にもあるとおり、実は、ハチコのような「過干渉型の毒親」が一番ポピュラーとのことです。
でも、、本当に一生懸命やってきたのに…
もちろん、怒鳴ったり、喧嘩したり、言い争ったりもあったけれど、遊んだり、笑い合ったり、頑張って達成感を感じたり、楽しい時間を過ごしたりした時間だって、大切な思い出だってたくさんたくさんあるのに。
それでも、私は「毒親」なのですか??
当初は素直に認められず、「そんな自分が可哀想だ」と思うこともありました。
でも、残念ながらハチコは、正真正銘の「毒親」でした。
「過干渉」「あなたのため」という支配の凶器で、息子の心と体を傷つけ続けていた「毒親」だったのです。
毒親ってやめられる?|すべての「価値感」を捨てられるかがカギ
「毒親」をやめるためには、自分が掲げてきた「教育方針」や「価値感」をきっぱり手放してみる必要があります。
以前のハチコの「教育方針」をざっとあげてみると、以下の通りです。
- しっかりとしつけをして、礼儀正しい子に育てる
- 将来のために、幼児期からの早期教育を行う
- 勉強習慣を自然に身につけるために、幼児期から毎日の生活の中に勉強を取り入れる
- 消極的で生真面目な性格を少しでも修正できるように努力する
- 子どもの得意・不得意にかかわらず、より多くの体験をさせてあげる
- 積極的に習い事をさえて、生きていく上で武器になる「特技」を身につけさせてあげる
- 中学受験をさせて、中高一貫教育を受けさせる
やや「勉強」に特化している教育方針のようにも感じますが、私のまわりには幼稚園受験や小学校受験組も多く、自分がやっていたことは「教育熱心な家庭」であればフツウのことであって、皆さんはもっとやっているわ!というイメージでした。
さらに、息子が生まれつき「おとなしい」「消極的」「人との関わり方が下手」といった資質を持って生まれてきたことで、せめて「勉強ができる」「特技がある」などの生きるための武器を持たせてあげたい!と毎日思っていたことはたしかです。
でも、4年生の夏、息子は母親の前では文字も書けないという勉強の拒否反応が起こりました。
息子の勉強への拒否反応は、ハチコの教育方針を息子に強制したことが問題であることをわかりやすく物語っています。
そして、心療内科の先生からも「教育熱心な親、専門知識を持った親が一番あぶない」と告げられました。
自分の思い描いてきた全てを捨てて、息子と向き合っていこう
「教育方針」を捨てるということは、すなわち、自分が生きてきた「価値感」もリセットすることになります。
ただ、これまでの自分が「息子のことを一番に考える」と言いながら、どこかで「親としての自分が人からどう思われるか」「息子がまわりからどんな子だと思われるるか」という「まわりの目」「周囲の評価」を気にしていたことに気づき、そうした「世間体」のようなものをいっさい考えないことにしたら、かなりラクになりました。
「育て直し」に「世間体」は邪魔すぎます。
誰になんと言われようと、周囲からどう思われようと、「息子の心と体の健康を取り戻すだけでいい」。
気付くのが遅すぎましたが、気付いてよかった…
息子がここまで傷つかなければ気付けない。こんな愚かな親もいるのです。
どんな時でも「愛している」を体現|下手でもいいから即実践!
「教育熱心」であったことともう一つ、ハチコには「毒親」として思い当たることがありました。
それは、子どものことを「本能的に愛することができない」ということです。
息子を授かった時も産まれた時も嬉しかったし、息子を可愛いと思ったり、病気や怪我をした時は心の底から心配をしていたハチコ。
でも、ずっと「普通のママたちと何かが違う。何だろう」と気になっていました。
子どもをギュッと抱きしめて「可愛いね〜」「産まれてきてくれてありがとう〜」とか言うのは恥ずかしくて苦手で、いつも「子どもを愛している」という思いよりも「心配」や「責任」が勝っているような。
「子どもを愛せない親」というたぐいの本を買ったり、ネットで調べても、それはそれで少し違う気がしていて。
で、自分なりに辿り着いた答えが「子どもを動物的に愛おしいと思えない」「本能で愛することができない」ということです。
息子が嫌いなわけでも、憎いわけでもないのだから、このこと自体はたいして問題ないだろうと思っていましたが、息子が心と体を壊したことに少なからず影響していることは間違いない、と気づきました。
かといって、それこそハチコ自身の生まれ持った人格の問題であって、今日から変えなさいといわれてもそれはムリなのです。
それどころか、息子が目の前で情緒不安定になったり、暴力をふるったり、何もせずにダラダラとして過ごしたりする様子を見て、本当に息子を見るのが嫌だ、辛いと思うことが増えてしまったぐらいです。
ただ、この最悪な状況こそ、「ママはあなたがどんな状態でも変わらず愛してる」「勉強をしなくてもあなたのことが好き」を息子に知らせてあげる大チャンスでもあります。
なので、勉強を拒否して、登校を渋り、ダラダラとして何もしない息子に対して、まず即日始めたことは
①息子に怒らないこと、怒鳴らないこと
②息子の前で泣かないこと
③息子の前でため息をつかないこと
④息子を見るのが嫌でも、息子から逃げないこと
専門家の人はよく「お子さんの心の病気をなおすには、お母さんの笑顔が一番の薬」みたいなことを簡単に言いますが、こちらは前代未聞の崖っぷちに突き落とされたような心境で、死にそうな思いで苦しんでいるので、そんなに簡単に笑えません。
ですから、笑顔はできなくても、せめて息子に自分の毒親の本心が伝わってしまうような言動だけは今日からやめよう、そう決心したわけです。
⑤息子に対して毒を吐きたくなったら、言葉に出さずにパソコンや紙に書いて吐き出すこと
⑥息子に何かを伝える時には、「アイメッセージ」(自分を主語にする会話技法)のみで話す
こんなことも、とりあえずの応急処置としては有効だったと思います。
そして、もがき続けて、変わろうと努力する中で、効果的だと思えるさまざまな方法や決断にも辿り着いていきます。
(こちらについては、また次回以降の記事でご紹介していきますね)
「親が変わる」ことで「子どもが変わる」には、もちろん時間はかかります。
でも、ハチコのようなこんな愚かな母親でも、「親が変わる」ことで「子どもが変わる」ことにつながることを実感しています。
1日も早く、1時間でも早く実践に移して、そして根気よく、諦めずに続けることによって、きっとよい方向に進むはず!です。
「親が変わる」と「子どもは変わるのか」|10年続けた今
あれから10年。
息子がよい時も悪い時も、自分がよい時も悪い時も、「育て直し=親が変わる」を続けています。
結論から言えば、ハチコは「根本から変わった」というよりも「自分を変えることに慣れた」といった方が正しいかもしれません。
そして、息子には「ママって昔と変わったよね?」とは聞けないので、息子が「親の変化」をどう感じていたかはわかりませんが、今の元気にのびのびを過ごす姿を見て、「親(家)が安全な場所である」と思ってもらえることには成功したと感じています。
息子は親(家)が安全な場所である、安心して暮らせるということで、昔のように親の顔色をうかがうこともなくなり、ありのままの状態でいることができるようになっています。
暴力を振るうこともなく、感情を大きく乱すこともなく、やりたいことを自由にやって過ごしています。
残念ながら「勉強好き」にまではなっていませんが、家で勉強することの拒否反応という病的な症状はなくなり、高校受験と大学受験もなんとか乗り越えることができ、現役で早慶理大に合格。
楽しく大学生活を送っています。
もちろん、息子の人生はまだまだこれからですし、これからも困難にぶつかることはあると思います。
されど、一度は地獄を見た家族に、穏やかな時間が訪れていることは事実です。
「子育ても下手」「愛し方も下手」「教育虐待をする毒親」
こんなハチコでも、「育て直し」ができたのです!
もし、今つらい状況にある方でも、苦しい毎日を送る方でも、一生懸命にお子さんと対峙して行く日々の努力が、それぞれの未来に結びついていくと信じています。
もちろん、ハチコだってまだまだ未熟者。
一緒にがんばりましょう!